11 agosto, 2012

引き際

僕がオリンピックでしか楽しむことの無い競技のひとつが、
レスリングです。

日本が男女ともにメダルを“勘定”できる競技で、
この瞬間日本中の視線がそこに集まります。
僕も例に漏れず、連日テレビ観戦していました。

その中で、浜口京子選手なんです。
初戦敗退で、初戦の相手が決勝に残れば、敗者復活で、
銅メダルの可能性もあったのですが、
その選手も早々に敗退し、微かな望みも絶たれました。

で、やはり京子選手と共に注目を集めるのが、ご両親、
とりわけお父さんのアニマル浜口さんですよね。

今回、初戦で敗れた時にも客席から「リオ、リオ。」
と京子選手に言ったとか。

浜口選手は34歳です。
体力に陰りは無く、筋力も強く、と新聞を読めば書いてあるわけですが、
体力、筋力共に充実していれば、敗れることもないんだろうと思うんですよね。

これが、二十歳やそこらの選手の話であれば、後もう1回、2回となっても、
応援できると思うんです。

しかし、柔道48kg級で、谷亮子選手と対戦して、幾度も勝った福見選手が、
実績重視とかいう理由で、谷選手に勝ってもオリンピックに出られず
(オリンピックへの、実績を積むための世界選手権の代表に選ばれず、
実質北京オリンピックへの出場が無くなった)
谷選手が出場し、結果を残し、

今回のロンドンで27歳にして初出場で、なんと初戦敗退。
最初で最後と思われるオリンピックで悔いの残る結果に終わった。
このことが思い出されるんですよね。

北京1年前、福見選手の北京への夢が消えた年、
谷選手は32歳、福見選手は22歳。
福見選手は谷選手に勝ったんだから、当然世界選手権に日本代表で出場して、
翌年のオリンピックに向けて力を付ける権利がありました。
しかし、実績重視とかいう理由で、谷選手に代表の座を明け渡さざるを得ず、
貴重な経験を積む機会を奪われました。
この北京大会で谷選手は銅メダルを獲得していますが、
果たしてこれが福見選手だったなら、また浅見選手だったなら、山岸選手だったなら
と思うと、連盟は罪なことをしてくれたなと思います。

アスリートの選手生命のピークは種目による違いもあり、
一概に言えるわけではありませんが、
一般的に20代であることにはそう異論は無いと思います。

そして、国際大会の日本代表を選抜するような場合には、
明らかに力の差があるのであれば、いわゆるベテランの部類に入るような
年齢の選手を代表にしてもそれを非難する声は上がらないと思いますが、
北京大会の柔道48kg級に見られるように、明らかに世代交代が
見られるような場合には、迷うことなく、若い選手を代表に選ぶべきだと思います。
選抜大会で勝ち残ったことが異論を排する第一の理由ですが、
若く脂の乗った選手が良い経験を積むための機会を逃してしまうことが
一番良くないというのが、僕の思う理由です。

案の定、谷(元選手)参議院議員は、「要するに実力が足りん。」と、
福見選手をバッサリ切り捨て、
国民の要請があるのなら現役復帰することもやぶさかではないとまで
言ったと言われています。

僕はこんな厚かましいことがよく言えるなと、呆れてものも言えません。
あの時(2007年)に実力が足らなかったのはあんたやないか、と。
若い選手に負けたけど、それまでの貯金だけであんたは世界選手権に出て、
更に翌年の全日本でも優勝できなかった(力が足りなかった)のに、
連盟が実績“だけ”を理由にオリンピックに派遣して、
それでも、金メダルを取るのならば、もしかしたら誰も文句も言えなかったが、
日本の柔道で、銅メダル(これでも凄いが)しか取れなかった。
もし福見が北京に出ていたら、浅見が出ていたらと言われるわけですよ。

で京子選手ですが、まだシューズを脱ぎたくない(引退したくない)と仰っています。
現役を続けるのはご本人の意思のみが決めることですので、
外野があれこれ言うものではないことはよく承知しています。
しかし、国際大会の代表を決めるのに、若い力に押されているのに、
実績だけで京子選手を代表派遣するとかいうことだけは、避けて欲しいですし、
もし万が一そのようなことがあっても、
「私は選抜戦で負けたので、代表は辞退します。」
と潔く退いて欲しいです。

女子アスリートに避けられないことの大きな問題のひとつに妊娠もあります。
差別であると言われることを前提で以下も続けて書きますが、
例えば長距離走の女子選手などは、やはり練習が本当にきつくて、
生理が何ヶ月も無いことが当たり前にあるそうです。
産婦人科医に言わせれば、初潮を終えていれば、引退すれば元に戻る
と言われているそうですが、しかし、これだけきつい練習を続けていれば、
今まで何ヶ月もこなかったものが本当に元に戻るかなんて、分かりませんし、
戻ったところで、現役引退したのが高齢であればそれ自体が出産リスクになるし、
それこそ競技だけに人生を賭けてきていれば、男性と知り合う機会もなかったかもしれない。
「レスリングが私の人生の全てだった、そしてこれからもこれは変わることはない。」
と言われてしまえば、黙るしかないのですが、
それでも“引き際”も大事にするべきだと思います。

アニマルさんが、「リオ、リオ。」と仰るのが京子選手へのプレッシャーにならなければいいのに
と思います。

僕は京子選手の何もしらないのですが、偶然京子選手の特集をBSの放送で観て、
「一度、ロンドンの前に、引退を考えた。」
というのを観たので、余計に思います。
その時は、それでもやはり金メダルを獲りたいということで、現役続行を決断した
とありました。
であるのならば、今回、実力でオリンピック代表を勝ち取ったわけですが、
その結果が初戦敗退でした。
この現実をしっかり受け止める時間もつくって欲しいと思います。

今後の京子選手の決断を、ミーハーながらにわかオリンピックファンとして、
注目したいと思います。

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