世の中には、人生には
いくら願っても手に入れられないものは多く有ります。
フェラーリ?
ポルシェ?
嫌々、そんなものではありません。
家でも高級マンションでもありません。
今、僕が心の底から欲しいと思うもの、のひとつに『ユーモア』があります。
***
平成12年7月4日
20世紀最後のアメリカ独立記念日を祝う洋上式典に参加するため、
世界各国の帆船170隻、海軍の艦艇70隻がニューヨーク港に集結しました。
翌日の5日に英国の豪華客船「クイーンエリザベス2号」が入港してきたのですが、
折りしも2ノット半の急流となっていたハドソン川の流れに押された巨大な客船が、
4隻のタグボートの懸命な操船虚しく、係留中の海上自衛隊練習艦「かしま」の
船首部分に接触する事故を起こしてしまいました。
着岸したクイーンエリザベス2号からすぐさま、船長のメッセージを携えた機関長と
一等航海士が謝罪にやってきました。
相手の詫び言に対応した「かしま」艦長・上田勝恵一等海佐(海軍大佐)はこの時
こう答えたそうです。
「幸い損傷も軽かったし、別段気にしておりません。
それよりも女王陛下にキスされて光栄に思っております。」
これが何千人もの船乗りたちの間で大評判になり、ニューヨークだけでなく、
ロンドンにも伝わって「タイムズ」や「イブニング・スタンダード」も記事にし、
日本のネイバル・オフィサー(naval officer:海軍士官)のユーモアのセンスを
評価する声が高かったそうです。
この事故、場所が英国と日本の治外法権の場所(米国)ということで、下手に揉めれば
論争に発展する可能性がありました。
また、もしそうなった場合、英国の威信を少なからず傷つけることにもなりかねません。
このような状況をサラリとユーモア一言で片付けた上田勝恵一等海佐の対応能力は
相当優れていたと言えるでしょう。
スマートで
目端が利いて几帳面
負けじ魂
これぞ船乗り
突然の事故でこの機転、
上田海佐、かっこ良すぎますわ。
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