今年のツール覇者フロイト・ランディスのドーピング陽性が
固まり、彼はチームを解雇されました。
17ステージのあの神懸かりな走りを僕は、
「マッチポンプなんじゃないの?」とここに書いたのですが、
当らずも遠からず、僕を含めあの夜に熱狂した人たちを
裏切る結果となりました。
神懸かりな走りとは?
マッチポンプなんじゃないの?と言わしめる理由とは・・・?
ツールの歴史は100年からなるわけですが、始まった頃の
レースでは、驚異的な先行逃げ切りは良くあったかもしれません。
しかし、近代レース、とりわけツール・ド・フランスなどの3週間
もの期間で争われるステージレースなどでは、連日組織だった動き
でレースが進められ、今回一番の注目となった17ステージなどは、
全てのチームが今ツールのヤマ場だと大会前から考えていました。
全てのチームの戦略が後半の超級山岳での争いに
ポイントを置いていたんです。
そんな中で、前日の大幅な遅れを取り戻そうと、
“誰もが優勝戦線から脱落したと思われていた”
ランディスは、レース開始早々、全てのアシスト選手を使って、
最初の峠から猛アタックを駆けたわけです。
総合優勝争いを占うステージと言うだけあって、
1級、2級、1級、超級と難関山岳が延々と続くんですよ。
全長200kmです。
それをわかっていながら最初の1級の峠からアタックを駆けるんです。
近代ツールでも数々の山岳スペシャリストが存在していたわけですが、
リシャール・ヴィランクしかり、マルコ・パンターニしかり、
いわずもがなランス・アームストロングだって山は得意です。
彼等だって
「この人たち平地を走ってんじゃないの?」
ってくらいのスピードで山を登っていくんですよ。
そんな彼等も近代レースの戦略を理解しているから、
総合にあまり関係のないヴィランクは山岳賞を狙う為に、
最初からアタックを駆けたりしますが、そのステージは、
最後の方は後続集団に捕まり、ステージ優勝は逃したりもした。
総合争いをするランス、パンターニなどは
そんな“無謀な冒険”は絶対しませんでした。
後半自分がバテるのが分っているし、他の選手は後半に勝負ポイントを
持ってきているのが分っているからです。
これらを分っていながら、総合を諦めていないランディスは最初から
アタックしてきました。
誰もが、どうせ捕まると思っていました。実況の方も、解説の方もね。
でも、いつまでたっても差が縮まらない。
あ、あ、あ~っ!!!
って優勝してしまったんです。
そりゃ、興奮しましたよ。
これまでの常識を覆しましたからね。
先頭にでてから誰にも抜かれずにそのまま優勝ですよ。
ホントに難しいんですよ。
人間の体力の限界なんてまだまだわからないと言っても、
物事には“ころ加減”というか、限度というか・・・ってあるじゃないですか。
ランディスはあの瞬間はホントに神でした。
誰もが唖然と口を開けてその走りを観ていましたよ。
レース後は、拍手喝采でした。
そのまま、マイヨ・ジョーヌを守り通して総合優勝しました。
僕も、
「ランディス、すげーなーって思ったんですよ。」
それが・・・
ホンマに、
「俺の7月の寝不足分の時間返せー!!」
です。
8月末のブエルタを観ようか観まいか迷っているくらいです。
あ、でも多分・・・というか絶対観ます。
それでも、自転車は面白いですから
それと共にドーピング根絶を切に願うものです
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